1 NZの隠密剣士
2017年10月に37歳で首相に就任したNZのジャシンダ アーダーンという人、なかなかな人物です。
飾らない人柄、しかし芯の強さを感じさせる物腰はリーダーとして申し分ありません。
この間のクライストチャーチで起きたモスク銃乱射事件では、迅速な行動もさることながら、テロリストの意図を言葉で打ち砕いて見せたメッセージや、
徹頭徹尾、被害者家族に寄り添ってモスリムのスカーフ (hijab)まで被った姿に、今までのリーダーとは一味も二味も違う強烈な指導者像を見せてくれたように思います。
この時取った彼女の行動に、世界中から称賛の声が相次いでいます。
英国の新聞 The Guardian は、彼女をこう表現しています。
そんな彼女を見て思い浮かんだ言葉があります。
「本当に強い人は優しい人」
そして、もう一つ思い出したこと、それは
「隠密剣士」
そう、彼女は南半球で生まれ変わった「隠密剣士」なのかもしれません。
「弱きを助け、強きを挫く」
アーダーン首相はまさに行動で示したのです。
彼女の行動は武士道でいう「仁」、つまりは情け。相手を思いやる心、弱き者への慈しみ、憐みの気持ちの発露に他なりません。
「相手を思いやれる心が人を強くする」のです。
* * * * *
ANZという二つの国に住んで学んだ最大のこと。それは
「相手を思いやれる社会こそが強い国を作る」
ということです。
とりわけ婦人参政権を世界で初めて認めたNZ。
アーダーン首相は、女性や先住民マオリ、その他の弱者マイノリティの権利擁護にとても熱心なこの国のシンボル的存在になったと言えるかもしれません。
それに比べたら日本のアイヌ民族に対する配慮はゼロに等しい、というよりも冷淡といってもいい。
それはアジア、アフリカ系移民やその他障害者、生活困窮者などいわゆるマイノリティ少数派に対してもそうだ。
『う~ん、今の日本には思いやりのある人がホント少なくなってしまった。かわりに増えたのが自分勝手な人、他人に無関心な人』
それじゃやっぱり強い社会になれるわけがないし、案の定日本はからっきし弱い国になってしまった。
それは兎も角として、「女・隠密剣士」 アーダーン首相とはどんな人なのかもう少し観察してみましょう。
* * * * *
2 家に帰れば庶民の一人に戻る彼女
仕事が終わってプライベートな時間に戻った時の彼女はどんな顔をしているのか。
「剣道着に着替えて」と思いきや(笑い)
ANZでは良き親であり、良きパートナー(又は夫/妻)であり、そして良き隣人であり、良き市民であることが何よりも大切にされる社会ですから
従って彼女も仕事が終われば真っ直ぐ家に帰り、ごく普通の市民の一人に戻って、皆と同じような暮らしをしているようです。
趣味や社交に時間を費やすNZ人も沢山いますが、彼らにとって一番大切なことは家族であり自分。そこまで犠牲にする人はまずいないでしょう。
ジャシンダには去年、つまり首相在職中に生まれた子がいるのですが、従って当然ながら育児もするし、家事もする、買い物にも行くし、庭仕事もする。写真のようにペンキ塗りもします。
勿論、彼女のパートナーが一生懸命「キーウィ―ハズバンド」ぶりを発揮して忙しい彼女を支えていることは言うまでもありません。
そんなジャシンダが先日、いつものように買い物に行ったら、その店でちょっとした出来事に遭遇したそうで、その時に取った彼女のある行動が話題になっているという新聞記事を見つけました。
何が起きたのかというと、彼女が買い物の最後に支払いをしようと会計のカウンター行って並んで待っていた時のこと、
彼女のすぐ前にいた二人の子供連れの母親が、払う段になって財布を忘れてきたことに気が付いたのです。
ドジな私も今まで何回となくやってるのでよくわかりますが、ほんと格好悪いし、これほど惨めなことはありません。
さぞかしこの母親も慌てふためいたことでしょう。
それで母親が仕方なく諦めて引き下がろうとした、その時、
すぐ後ろでいきさつを見ていたジェシンダが、すかさずこの母親の買い物代を立替てくれたのです。
感激したこの母親、早速 facebookにその話を載せたそうですが、瞬く間にこの話が拡散してマスコミの知るところとなりました。
それで後日、マスコミからその時のことをいろいろ聞かれることになってしまいましたが、
その時の受け答え、態度がまた実に印象深いもので
記者から何故そういう行動を取ったのか、との質問に
「何故って、彼女は母親だから」
と、たった一言。
『言わずもがなの事っしょ』
と言わんばかりに最後に「サンキュー」と言い残してさっと立ち去ったのです。
『う~ん、やっぱりただものではない!』
このように庶民と同じ暮らしをして、庶民と同じ目線に立てる政治家が国の舵を取る、これほど国民にとって心強いことはありません。
一流大学を出て一流企業に入ることではなくて、また贅沢とは無縁の生活であっても、人間らしく暮らせるようになることが一番大事なことなのだ。
そして困ってる人がいればお互いに声を掛け合って助け合う、という当たり前のことをこのエピソードは教えてくれているように思います。
オーストラリアもそうですが、政治家だろうかホームレスだろうが、移民だろうが人間関係に「序列意識」はありません。お互い対等な立場で付き合えるし、向き合える社会なのです。
だから必要な時にす~っと声を掛け合える社会になれる、といえるでしょう。
そして人間が人間らしく生きられる社会になれば、自然と自分たちの住む街、国に愛着と誇りを持てるようになるものです。
愛国心とは決して強制されるものではありません。
かたや毎日毎晩高級料亭やバーで、国民の貴重な税金を湯水のように浪費して恥も罪の意識もなく、そのうえ踏ん反り返っては民衆を見下して、
『なに、貧乏? そりゃあ自業自得だわなあ。それに生活保護があるだろう』
『なんだとお、虐め・引きこもりだって~。そんなの専門家がいるだろう』
『なに今度はアイヌ、難民だと? そんな連中まで知るかあ』
と言わんばかりの指導者達。
そんな彼らが好き勝手やり放題になってしまっている国、日本
ああ、やっぱりアーダーン首相のような人に喝を入れてもらうのがいい。
日本が沈没する前に・・・。
以上
つづく
2017年10月に37歳で首相に就任したNZのジャシンダ アーダーンという人、なかなかな人物です。
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アーダーン首相 引用:ABC
NEWS 18/10/22
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飾らない人柄、しかし芯の強さを感じさせる物腰はリーダーとして申し分ありません。
この間のクライストチャーチで起きたモスク銃乱射事件では、迅速な行動もさることながら、テロリストの意図を言葉で打ち砕いて見せたメッセージや、
徹頭徹尾、被害者家族に寄り添ってモスリムのスカーフ (hijab)まで被った姿に、今までのリーダーとは一味も二味も違う強烈な指導者像を見せてくれたように思います。
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事件後イスラム教徒指導者たちと話し合う 引用: stuff 3/16
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この時取った彼女の行動に、世界中から称賛の声が相次いでいます。
英国の新聞 The Guardian は、彼女をこう表現しています。
"Jacinda Ardern showed what the world leader should be"
「J. アーダーンは世界のリーダーとはかくあるべしと言う姿を見せてくれた」
そんな彼女を見て思い浮かんだ言葉があります。
「本当に強い人は優しい人」
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犠牲者の家族を抱きしめるアーダーン首相
引用 BBC
3/21
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そして、もう一つ思い出したこと、それは
「隠密剣士」
そう、彼女は南半球で生まれ変わった「隠密剣士」なのかもしれません。
「弱きを助け、強きを挫く」
アーダーン首相はまさに行動で示したのです。
彼女の行動は武士道でいう「仁」、つまりは情け。相手を思いやる心、弱き者への慈しみ、憐みの気持ちの発露に他なりません。
「相手を思いやれる心が人を強くする」のです。
* * * * *
ANZという二つの国に住んで学んだ最大のこと。それは
「相手を思いやれる社会こそが強い国を作る」
ということです。
とりわけ婦人参政権を世界で初めて認めたNZ。
アーダーン首相は、女性や先住民マオリ、その他の弱者マイノリティの権利擁護にとても熱心なこの国のシンボル的存在になったと言えるかもしれません。
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NZほど先住民に敬意を示す国も珍しい。政府の公式サイト
は勿論バイリンガル表示。パスポートも然り
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右の人物はマオリ、左は英国系女性 痛いほど 先住民に配慮していることがわかります。 |
それに比べたら日本のアイヌ民族に対する配慮はゼロに等しい、というよりも冷淡といってもいい。
それはアジア、アフリカ系移民やその他障害者、生活困窮者などいわゆるマイノリティ少数派に対してもそうだ。
『う~ん、今の日本には思いやりのある人がホント少なくなってしまった。かわりに増えたのが自分勝手な人、他人に無関心な人』
それじゃやっぱり強い社会になれるわけがないし、案の定日本はからっきし弱い国になってしまった。
それは兎も角として、「女・隠密剣士」 アーダーン首相とはどんな人なのかもう少し観察してみましょう。
* * * * *
2 家に帰れば庶民の一人に戻る彼女
仕事が終わってプライベートな時間に戻った時の彼女はどんな顔をしているのか。
「剣道着に着替えて」と思いきや(笑い)
ANZでは良き親であり、良きパートナー(又は夫/妻)であり、そして良き隣人であり、良き市民であることが何よりも大切にされる社会ですから
従って彼女も仕事が終われば真っ直ぐ家に帰り、ごく普通の市民の一人に戻って、皆と同じような暮らしをしているようです。
趣味や社交に時間を費やすNZ人も沢山いますが、彼らにとって一番大切なことは家族であり自分。そこまで犠牲にする人はまずいないでしょう。
ジャシンダには去年、つまり首相在職中に生まれた子がいるのですが、従って当然ながら育児もするし、家事もする、買い物にも行くし、庭仕事もする。写真のようにペンキ塗りもします。
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引用:
Stuff 17/9/23
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勿論、彼女のパートナーが一生懸命「キーウィ―ハズバンド」ぶりを発揮して忙しい彼女を支えていることは言うまでもありません。
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果物、野菜はバラ売りが基本、独り者には嬉しい
引用:NEWSNOW
17/10/8
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彼女のすぐ前にいた二人の子供連れの母親が、払う段になって財布を忘れてきたことに気が付いたのです。
ドジな私も今まで何回となくやってるのでよくわかりますが、ほんと格好悪いし、これほど惨めなことはありません。
さぞかしこの母親も慌てふためいたことでしょう。
それで母親が仕方なく諦めて引き下がろうとした、その時、
すぐ後ろでいきさつを見ていたジェシンダが、すかさずこの母親の買い物代を立替てくれたのです。
感激したこの母親、早速 facebookにその話を載せたそうですが、瞬く間にこの話が拡散してマスコミの知るところとなりました。
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オークランドのスーパーのチェックアウト付近
引用:JTBの市内オリエンテーションサイトから
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写真はその出来事があった時のショッピングセンター
でのものらしい 引用:
Kidspot 19/4/4
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それで後日、マスコミからその時のことをいろいろ聞かれることになってしまいましたが、
その時の受け答え、態度がまた実に印象深いもので
記者から何故そういう行動を取ったのか、との質問に
「何故って、彼女は母親だから」
と、たった一言。
『言わずもがなの事っしょ』
と言わんばかりに最後に「サンキュー」と言い残してさっと立ち去ったのです。
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画像はそのインタビューを受けた時のもの
引用:The Sydney Morning Herald 4/4 |
このように庶民と同じ暮らしをして、庶民と同じ目線に立てる政治家が国の舵を取る、これほど国民にとって心強いことはありません。
一流大学を出て一流企業に入ることではなくて、また贅沢とは無縁の生活であっても、人間らしく暮らせるようになることが一番大事なことなのだ。
そして困ってる人がいればお互いに声を掛け合って助け合う、という当たり前のことをこのエピソードは教えてくれているように思います。
オーストラリアもそうですが、政治家だろうかホームレスだろうが、移民だろうが人間関係に「序列意識」はありません。お互い対等な立場で付き合えるし、向き合える社会なのです。
だから必要な時にす~っと声を掛け合える社会になれる、といえるでしょう。
そして人間が人間らしく生きられる社会になれば、自然と自分たちの住む街、国に愛着と誇りを持てるようになるものです。
愛国心とは決して強制されるものではありません。
かたや毎日毎晩高級料亭やバーで、国民の貴重な税金を湯水のように浪費して恥も罪の意識もなく、そのうえ踏ん反り返っては民衆を見下して、
『なに、貧乏? そりゃあ自業自得だわなあ。それに生活保護があるだろう』
『なんだとお、虐め・引きこもりだって~。そんなの専門家がいるだろう』
『なに今度はアイヌ、難民だと? そんな連中まで知るかあ』
と言わんばかりの指導者達。
そんな彼らが好き勝手やり放題になってしまっている国、日本
ああ、やっぱりアーダーン首相のような人に喝を入れてもらうのがいい。
日本が沈没する前に・・・。
以上
つづく