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2019年8月14日水曜日

4ANZと日本の政治家の違いーアーダーン現NZ首相のこと


1 NZの隠密剣士

2017年10月に37歳で首相に就任したNZのジャシンダ アーダーンという人、なかなかな人物です。


アーダーン首相 引用:ABC NEWS 18/10/22



飾らない人柄、しかし芯の強さを感じさせる物腰はリーダーとして申し分ありません。


この間のクライストチャーチで起きたモスク銃乱射事件では、迅速な行動もさることながら、テロリストの意図を言葉で打ち砕いて見せたメッセージや、


徹頭徹尾、被害者家族に寄り添ってモスリムのスカーフ (hijab)まで被った姿に、今までのリーダーとは一味も二味も違う強烈な指導者像を見せてくれたように思います。


事件後イスラム教徒指導者たちと話し合う 引用: stuff 3/16


この時取った彼女の行動に、世界中から称賛の声が相次いでいます。


英国の新聞 The Guardian は、彼女をこう表現しています。



 "Jacinda Ardern showed what the world leader should be" 

  「J. アーダーンは世界のリーダーとはかくあるべしと言う姿を見せてくれた」



そんな彼女を見て思い浮かんだ言葉があります。


「本当に強い人は優しい人」



犠牲者の家族を抱きしめるアーダーン首相 引用 BBC 3/21

そして、もう一つ思い出したこと、それは


「隠密剣士」


そう、彼女は南半球で生まれ変わった「隠密剣士」なのかもしれません。


「弱きを助け、強きを挫く」


アーダーン首相はまさに行動で示したのです。


彼女の行動は武士道でいう「仁」、つまりは情け。相手を思いやる心、弱き者への慈しみ、憐みの気持ちの発露に他なりません。


「相手を思いやれる心が人を強くする」のです。


          *  *  *  *  *


ANZという二つの国に住んで学んだ最大のこと。それは


「相手を思いやれる社会こそが強い国を作る」


ということです。


とりわけ婦人参政権を世界で初めて認めたNZ。

アーダーン首相は、女性や先住民マオリ、その他の弱者マイノリティの権利擁護にとても熱心なこの国のシンボル的存在になったと言えるかもしれません。



NZほど先住民に敬意を示す国も珍しい。政府の公式サイト
は勿論バイリンガル表示。パスポートも然り




右の人物はマオリ、左は英国系女性 痛いほど
先住民に配慮していることがわかります。

それに比べたら日本のアイヌ民族に対する配慮はゼロに等しい、というよりも冷淡といってもいい。

それはアジア、アフリカ系移民やその他障害者、生活困窮者などいわゆるマイノリティ少数派に対してもそうだ。


『う~ん、今の日本には思いやりのある人がホント少なくなってしまった。かわりに増えたのが自分勝手な人、他人に無関心な人』


それじゃやっぱり強い社会になれるわけがないし、案の定日本はからっきし弱い国になってしまった。


それは兎も角として、女・隠密剣士」 アーダーン首相とはどんな人なのかもう少し観察してみましょう


      *   *   *    *   *


2 家に帰れば庶民の一人に戻る彼女



仕事が終わってプライベートな時間に戻った時の彼女はどんな顔をしているのか。


「剣道着に着替えて」と思いきや(笑い)



ANZでは良き親であり、良きパートナー(又は夫/妻)であり、そして良き隣人であり、良き市民であることが何よりも大切にされる社会ですから


従って彼女も仕事が終われば真っ直ぐ家に帰り、ごく普通の市民の一人に戻って、皆と同じような暮らしをしているようです。


趣味や社交に時間を費やすNZ人も沢山いますが、彼らにとって一番大切なことは家族であり自分。そこまで犠牲にする人はまずいないでしょう。



ジャシンダには去年、つまり首相在職中に生まれた子がいるのですが、従って当然ながら育児もするし、家事もする、買い物にも行くし、庭仕事もする。写真のようにペンキ塗りもします。


引用: Stuff 17/9/23


勿論、彼女のパートナーが一生懸命「キーウィ―ハズバンド」ぶりを発揮して忙しい彼女を支えていることは言うまでもありません。


そんなジャシンダが先日、いつものように買い物に行ったら、その店でちょっとした出来事に遭遇したそうで、その時に取った彼女のある行動が話題になっているという新聞記事を見つけました。


果物、野菜はバラ売りが基本、独り者には嬉しい
引用:NEWSNOW 17/10/8

何が起きたのかというと、彼女が買い物の最後に支払いをしようと会計のカウンター行って並んで待っていた時のこと、


彼女のすぐ前にいた二人の子供連れの母親が、払う段になって財布を忘れてきたことに気が付いたのです。



ドジな私も今まで何回となくやってるのでよくわかりますが、ほんと格好悪いし、これほど惨めなことはありません。


さぞかしこの母親も慌てふためいたことでしょう。


それで母親が仕方なく諦めて引き下がろうとした、その時、


すぐ後ろでいきさつを見ていたジェシンダが、すかさずこの母親の買い物代を立替てくれたのです。



感激したこの母親、早速 facebookにその話を載せたそうですが、瞬く間にこの話が拡散してマスコミの知るところとなりました。




 オークランドのスーパーのチェックアウト付近 
引用:JTBの市内オリエンテーションサイトから



写真はその出来事があった時のショッピングセンター
でのものらしい 引用: Kidspot 19/4/4

それで後日、マスコミからその時のことをいろいろ聞かれることになってしまいましたが、


その時の受け答え、態度がまた実に印象深いもので




記者から何故そういう行動を取ったのか、との質問に


「何故って、彼女は母親だから」


と、たった一言。


『言わずもがなの事っしょ』


と言わんばかりに最後に「サンキュー」と言い残してさっと立ち去ったのです。


画像はそのインタビューを受けた時のもの 
引用:The Sydney Morning Herald 4/4


『う~ん、やっぱりただものではない!』



このように庶民と同じ暮らしをして、庶民と同じ目線に立てる政治家が国の舵を取る、これほど国民にとって心強いことはありません。


一流大学を出て一流企業に入ることではなくて、また贅沢とは無縁の生活であっても、人間らしく暮らせるようになることが一番大事なことなのだ。


そして困ってる人がいればお互いに声を掛け合って助け合う、という当たり前のことをこのエピソードは教えてくれているように思います。




オーストラリアもそうですが、政治家だろうかホームレスだろうが、移民だろうが人間関係に「序列意識」はありません。お互い対等な立場で付き合えるし、向き合える社会なのです。


だから必要な時にす~っと声を掛け合える社会になれる、といえるでしょう。


そして人間が人間らしく生きられる社会になれば、自然と自分たちの住む街、国に愛着と誇りを持てるようになるものです。


愛国心とは決して強制されるものではありません。


かたや毎日毎晩高級料亭やバーで、国民の貴重な税金を湯水のように浪費して恥も罪の意識もなく、そのうえ踏ん反り返っては民衆を見下して、


『なに、貧乏? そりゃあ自業自得だわなあ。それに生活保護があるだろう』

『なんだとお、虐め・引きこもりだって~。そんなの専門家がいるだろう』

『なに今度はアイヌ、難民だと? そんな連中まで知るかあ





と言わんばかりの指導者達。


そんな彼らが好き勝手やり放題になってしまっている国、日本



ああ、やっぱりアーダーン首相のような人に喝を入れてもらうのがいい。


日本が沈没する前に・・・。




以上


つづく


2019年6月10日月曜日

3 ANZと日本の政治家の違いー初代NZ首相のこと


私が昔、NZのクライストチャーチに住んでいた時のことです。



クライストチャーチ市内を流れるエイボン川、川下りが楽しめる 


花が奇麗で1月にフラワーコンテストがある。優勝した庭は
言葉にならない程素晴らしかった。写真はコンテストとは無関係


ある日、ツアーガイドの仕事があり市内のホテルに行って、客様のためにレセプションでチェックインをしていたら、


私の左側に、50代らしきご婦人が後からやってきて同じようにチェックインを始めたのです。その時、


”Jenny Shipley” という名前が聞こえ,




その時に行ったホテル。当時Park Loyal Hotelと呼ばれていた。
(引用 ホテルのwikipedia)



『ハテ、どこかで聞いたことがある名前だなあ・・・、まさか』


と思い、ちらっと横顔を見たら、な、なんと当時NZ政府の厚生・女性大臣を務めていた Jenny Shipley だったではないですか ! !



Jenny Shipley (引用:NZ HISTORY)
 https://nzhistory.govt.nz/people/jenny-shipley



あまりにも予想外のシーンに私は、とても驚いてしまいました。


詳しくは忘れましたが、当時医療制度改革か何かで彼女は毎日のように頻繁にTVに出ていて


ショートカットの髪に、いかにも来真面目そうな顔立ちはまさしくあのTVでよく見る顔でした。






彼女はそれから数年後にこの国の最初の女性首相となった政治家です。


私がホテルで見かけた時もNZ政府の要職を占め、紛れもない実力者。いつ首相になってもおかしくはない人でした。



NZは女性が強い。現在で3人目の女性首相 左から Jenny Shipley,  現首相 Jacinda Arderan,
2人目の首相 Helen ClarK (引用:nzherald.co.nz 22/9/18)



そんな人が、いくら小さい国だからといったって、また仮に私用でクライストチャーチに来たのだったとしても、一人でチェックインをするものだろうか、


と、日本なら想像もつかない光景にヘビー級のカルチャーショックを喰らってしまいました



(つづく)       

2019年5月19日日曜日

2 ANZと日本の政治家の違い (総論)


ブログ2回目はANZと日本の政治家はどう違うのか、またその違いが強きを挫き、弱き者を助ける」ことと、どう関わってくるか考えてみたいと思います。



赤ちゃんを産んだNZ首相Mrs Ardernとパートナー
出典:The New York Times 19/8/2


まず私が感じている違いを一口でいうと、


 * ANZの政治家は住民にとって身近な存在

 *   日本の政治家は住民にとってかけ離れた存在


後でゆっくりお話ししますが、ANZの政治家はあくまでも普通の人で距離を感じるような人達ではありません。しかも気さくな人がとても多い。例えば


上の画像、NZのMrs Ardern首相とその家族ですが、彼女とても親しみやすさを感じる政治家の一人ですね。


下の画像は、パジャマ姿のおねいちゃん、あっ失礼、この女性れっきとしたオーストラリアQLD州議員で、




豪州QLD州観光産業開発大臣Kate Jones
出典:Sunday Mail 18年?月?日

*この写真は英国連邦国際大会のQLD州にできた選手村となる宿泊施設でその広報にと撮影されたもの。 


しかも現在観光産業開発大臣、その前は教育大臣をやっていたなかなかの実力者です。まあ、この人は特別気さくに見えるので、例として画像をあげてみましたが、



「偉い」とされる職業に就いている医者や大学教授、大企業の社長のような人でも普通の人という点では全く同じです。


気難しそうな人は勿論いますが、人間関係に序列意識のない社会ですから偉ぶっているのとは違います。


そもそもここでいう日本語の「偉い」という意味の言葉は英語にはありません。

     

          *    *    *



一方の日本人ですが、よく「俺は偉いんだぞ」という匂いをぷんぷんさせた人がいます。政治家もまずその筆頭に入る職業でしょうか。



中にはいい人もいるんですが、テレビで観る国会議員の多くはそういう感じの人が多いですね。


その国会議員の給料に相当する歳費というものが3千万円とか4千万円とかいわれ、しかもJRが乗り放題だったりさまざまな特権もある。また見えないとこで利権を得て居たりと、庶民には絶対手の届かない生活ができる環境にあるようですが、


国会議員とは国民の代表ですから、国民とはあまりかけ離れた生活をしていては困るのであって、


本来なら私達と同じ空気を吸って、同じものを食べ、同じように笑ったり、泣いたりしている人でなければなりません。


ところが事実はさにあらず。


表舞台での仕事(国会等での本来の仕事)が終わると、舞台裏がありそこで過ごす彼らの生態がかなり怪しい。



これから六本木のお気に入りのバーに行く麻生大臣
出典:Friday 18/3/16



舞台裏とはムラ、即ち身内や同類の閉鎖的な世界ですから、会合に顔を出しては何か魂胆をめぐらし、終われば終わったで今度は料亭だバーだと毎晩のように繰り出していく。


まあ、これはお金に潤沢な政権与党の自民党の先生方を念頭に置いてお話していることをお断りしておきますが。



日本の政治家は家族と過ごすより料亭・バーで寛ぐのが好きらしい
出典:NAVERまとめ by misukiruさん

 ともかく、そこは料亭の女将やバーのホステスと親しくはなる場所ではあっても、一般住民とはなんの接点もない場所で、



しかも料亭やバーの飲み食いは私たちの税金(政務調査活動費)で払っているとか。もしそうなら、呆れてものが言えませんが、何故かあまり大きな騒動にならいことが、また、否、まか不思議。



出典:NEVERまとめ by misukiruさん
安部さんは二言目には「国民の命と暮らしを守る」と言ってますが、家族をほったらかしにし、庶民を逆なでするように毎日毎晩飲み歩いて、自民党政権は庶民の暮らしをどれだけ把握しているのか、是非聞いてみたいものです。


それでも「「国民の命と暮らしを守る」と言う言葉にウソはないといい続けるなら10万人当たりの19.5人もの自殺が出ている世界ワースト6位という現実に、一体皆さんは何をしたのでしょう。



「なに~っ、会議だと~っ?」


「会議で解決するなら、政治家なんて要らないだろう、何のために高給貰ってんだ!」


と、言う相手がいないので、ここで鬱積した憤懣を吐き出している私。


この数字は平成28年度に自殺対策白書で閣議決定しているので先生方は知らないはずはありません。



7人に1人が貧困に喘いでいるという日本。毎日毎日必死に生きている人、生死をさ迷ってる人、力尽きて自ら命を落とす人、孤立死も増えている。餓死も意外に多い。


みんな社会から見放され、切り捨てられた人たちです。


にも拘らず、毎日毎晩国民の税金でバーだキャバレーだ、愛人だと一晩に100万円も200万も浪費するって、どういう神経なのか。


血もあり涙もある人間なら、そんなことできるものでしょうか。


質素倹約を尊び、清貧な生活に高貴な精神を持ちながら敗者や弱き者へも情けを示すのが武士道だった。


「武士は食わねど、爪楊枝」


そんなサムライが見たら、こう叫ぶだろう。


これを腐敗、堕落と言わずして何と言う!!」




子供たちの道徳心がどうのこうの言うよりも、こういう政治家がまず先に道徳を身に付けなければならないようですね。


          *    *    *


ではANZの政治家はどうなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。


ANZ人にとって一番大事なものは家族、独身なら自分の時間。それは政治家であっても同じです。仕事さへ済ませれば、さっさと家に帰って家族と(独身なら好きなようにして)過ごすもので、



家族と寛ぐモリソン豪州首相 出典:ABS NEWS 19/9/18




理由もなく寄り道したら、パートナーと一騒動起きることは間違いありません。


夫婦とは、ご存知のように対等なパートナーの関係で、家事や育児もお互い助け合いながらやっていくことが当然のこと


尤も、忙しい政治家、特に首相ともなるとそうもいかないようですが、それでも一生懸命相手を支えようと頑張ってる


そういう姿にこの人なら住民と同じ目線で政治を考えてくれそうだ、という安心感を抱き、それが信頼感へと繋がっていくものでしょう。




スーパーで買い物中の英国のメイ首相と夫
Daily Mail Australia 17/5/20 

ANZは何よりも家族を大切にする社会で、それは政治家であっても変わりはない、というか、むしろ政治家になるには一番の前提条件みたいなもので、それはどの国に行っても当然のこととならなければいけないのだと思います。


しかし日本では何故か、ここが未だにすっぽり抜け落ちている、そんな気がしてなりません。




と、ここまでが一般論。次回は実際に何人かの政治家とウィリアムズ王子のちょっとしたエピソードを紹介しながら、身近な存在である彼らの実像に迫ってみたいと思います。